大円釈迦堂阿弥陀三尊

大円釈迦堂阿弥陀三尊(おおまるしゃかどうあみださんぞん)

 

旧岩奥山竜泉寺堂跡と伝えられる、切畑大円釈迦本堂の一隅にある。

切畑・木代一帯は石英閃緑岩(黒御影石)など、石材の産地で、今も石きりのつちの音がこだまする。

 鎌倉後期、乾元二年(1303)の作で細長い自然石(石英閃緑岩)に阿弥陀三尊が舟形に彫られている。

中尊の阿弥陀如来は坐像で高さ29cm、阿弥陀の定印が見られる。

その下にある左右の脇きょう侍じは観音菩薩・勢至菩薩の立像で、それぞれ25cm、半肉彫りされている。

観音は蓮台を持ち、勢至は合掌する。

中尊の肉にく髷まげは高くゆったりとした荘重な像容は鎌倉後期の特徴を示ている。石の一段上に笠を支える「ほぞ」でっぱりがあり、笠塔婆であったことがわかる。

 阿弥陀如来の下、両脇侍の間に「為三世四恩乾元二年(葵)(卯)二月下旬願主□□敬白」とある。

願主の名は風化していて判読できないが、疫病・禍の悲運にあい、阿弥陀の慈悲にすがりたいと、願主の回向、冥福を祈って

造立したものであろう。

銘文中の三世とは過去・現在・未来または前世・現世・来世を指す。「四恩」とは父母・衆生・国王と三宝の恩を言う。

三宝とは仏(悟りを開いた人)・法(その教え)・僧(教えを奉ずる教団)をいう。